欧州では各分野の専門性を持ったスペシャリストが活躍し、重用されています。しかし、優秀なスペシャリストはその数も限られているため、日系企業は長年の 歴史を持つ現地企業と、良い人材をめぐって常に競争状態にあります。 最適な人材確保のためには下記のような点に留意することが必要です。
a. 優秀かつ適切な応募者を得るため企業の魅力を増加させることを考えましょう。 たとえば求人広告で使用する用語やレイアウトなどは各国で最高とされる水準に 合わせて下さい。(スペルミスがあるなどは言語同断です。) 求人広告に業務内容の詳細を明記することも大変重要です。欧州では日本と比べて 担当外の仕事をすることが少なく(例えばある一定の技術職で雇われた人材が異なる 技術を用いる仕事を行うことを嫌がるなど)、各国の通例に合わせたスペシャリスト の枠・業務内容で求人広告を出すことをお勧めします。 (業務内容以外の仕事をさせたい場合のコツは別途弊社セミナーでお伝えします。)
b.日本では先輩/後輩等上下関係が重視されますが、欧州では基本的に年功序列制は 存在しません。新たに採用された人材がその他のスタッフより若いか年上かなどは 関係せず、知識と能力だけがモノを言います。
c.採用面接は応募者の自己PRのみではなく、企業と応募者の期待を確認し合う場です。 面接者は応募者の履歴書やその他詳細を事前によく読み熟知すると共に(欧州では 自己の職務経験を大袈裟に表現する場合もあるので必要に応じて疑いの目も持って)、 応募者からの業務内容、労働条件、給与、賞与、どのようにキャリアを積めるかと いう可能性などについての質問に明確に答えられなければなりません。 応募者は日系企業と接することが初めてかも知れず、日本人駐在員が普段接している 欧州人上司とあまりにも異なる振る舞いをした場合、不安感を覚えるかもしれません。 たとえ人事担当者や、新たな人材が実際に働くことになる職場のマネージャーが面接に 同席していたとしても、駐在員の皆様もどうか積極的に面接に参加して下さい。 駐在員の皆様がオープンかつプロフェッショナルに熱心に面接を行ったか、黙った まま視線を合わさなかったかが、良い候補者を採用できるかどうかと関係することが あることを、ぜひご理解いただきたいと思います。
d. 面接の先の段階では、応募者と正しいタイミングで的確に連絡を取ることが重要です。中間の連絡や最終決定までの所要時間はどれ位でしょうか? 優秀な人材の場合、複数の企業からオファーを受けることも多いため、候補者が、しっかりしていてプロフェッショナル、かつ対応が早い企業に気持ちが傾くことは理解しなければなりません。
e. 採用決定後は面接時合意された内容を全て反映した、プロフェッショナルな雇用契約書を送付しなければなりません。合意した内容から乖離がないことを十分確認して下さい。
優秀なスペシャリストは求人数よりも少ないことが多く、候補者は職務内容だけでなく、採用企業が求人や面接のプロセスをどのように取り扱っているかを冷静に観察しています。 人材採用時にはどうか上記の点にご留意下さい。