今回は、日本とドイツのチームワークの概念の相違について、ご紹介したいと思います。
弊社は日系企業の駐在員を中心にオンラインアンケートを実施し、その結果、大勢の方から「現地の同僚は協調性に欠けていると感じる」とのご回答を頂きました。 多くの回答者から頂いた匿名の本音によると、こちらの同僚は考慮の範囲が非常に狭いうえ、周り(他の部署等)をあまり気にしない印象を受けるそうです。 例えば、ドイツ人は同僚に自分の領域に入られるのを歓迎せず、また同僚の仕事が明らかに多すぎても、自発的に手伝う事もないとよく耳にします。 これは度を過ぎている個人主義の表れというより、単に異なるチームワークの概念に基づいている為と考えられます。
ヨーロッパの国々でも、特にドイツの組織・企業は、仕事の責任の担当をはっきり区切っています。あるチームの構成を四角の箱に例えると、それぞれの領域は将棋盤のように奇麗に分かれています。専門主義のドイツ人の考えでは、組織はできるだけ領域や責任が重ならないようにするべきなのです。
以前、とても興味深い実験について教わったことがあります。 その実験は、ドイツ人二人に交代でロープを引っ張ってもらい、その引く力をはかるというものでした。最初は、それぞれが60キロの力で引っ張ることができました。 その後二人で一緒に引っ張ってもらうと、120キロではなく110キロの力しかでていないことが判明しました。つまり効率が低下していたのです。
この結果を欧米のマネジメントガイドブックで読むと、以下の点が強調されています。
「チームメンバーは、個別に特定の仕事の担当及び責任に配属せよ。しかもチーム全体の仕事は、達成した後でもそれぞれの貢献度が直ぐに見分けられるように用意せよ。結果的に部下・同僚のやる気が引き出される!」
一方日系企業では、例えば顧客から至急なリクエストがあったとき、あまり自分の職務範囲を気にせず、チームの成果の為にお互いに支援したり、一丸となったりすることが普通でしょう。 ですが、前述のとおりドイツ人はトップダウンの縦割りに慣れています。 ドイツ人マネージャーの目で見ると、日本のようにチームメンバーが勝手に割り振りを変えることはあまり好ましいことではありません。 なぜなら、パズルのように、それぞれの部下を上手に割り振る役割は、そのマネージャーのみが担っているからです。 それ故、そのマネージャの計画がくるってしまわないよう、ほとんどの場合は割り振りの変更は必ず上司を通して行うことが必要です。
弊社のパブリックセミナーにて、この問題の対策についてご案内させていただきます。 皆様、どうぞこの機会に、ぜひ弊社セミナーにご参加下さい。