事業全体の目的設定とは少し異なりますが、一般的にヨーロッパ人は、日本式の目標設定を高すぎると感じることがあるようで、日系企業で働くヨーロッパ人社員の研修で、よく次のような声を耳にします。
「私は5%の経費削減を目標にするよう上司から言われた。これは非常に高い目標であったが、私は受け入れた。私が5%の削減目標を達成し上司に報告したところ、次は10%を目標にするよう言われた。日本人は我々から労働力を搾り取るだけ搾り取って、決して満足することはないのだ、と感じた」
しかし、日本人上司からすると、このような不平を言う社員は、そもそも「高い目標を達成しようという意欲がない、心構えができていない」ということになるようです。
ある日系企業のヨーロッパの工場では、労災の発生件数予測を毎年日本の本社に報告しなければならないのですが、日本人駐在員は「当然0件と書かなくてはならない」と言うのだそうです。
それに対して、ドイツ人などの現地社員は、「過去10年間で 労災は毎年平均3件は発生している。だから0件と書くことはできない。たとえ目標であったとしても、そのような非現実的な数字を書くことは不可能だ」と反論します。ドイツやオランダなどの北ヨーロッパの人は、「いかなる場合でも、守れないかもしれない約束はしたくない」と、考える傾向があるのです。
しかし日本人は、「毎年3件も労災が発生していて満足なのか?それを0件にしようとは思わないのか?」と疑問に思い、双方の主張は永遠に平行線をたどるように見えます。
このような議論には、日欧の文化的な考え方の違いが顕著に現れます。
– 目標とは、努力しても達成することが難しいとわかっている水準を、理想の形として設定するものなのか?
– 目標とは、100%実現する義務があるものなのか?それは果たして現実的なのか?
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