まず最初に、オランダ人の学者Trompenaarsによる文化に関する定義をご紹介いたします。 「文化とは、集団が共に難しい問題を解決したり、和解していくやり方である」 人類は世界中で、同じような普遍的な問題に直面しています。 (人生、子育て、幸せについてなど) 問題への対応の仕方はグループによって異なりますが、その違いがそれぞれの文化・考え方です。 このアプローチの違いについて理解していない場合、以下の事例のような誤解を引き起こすことがあります。 昔は、初めて欧州出張に行く多くの日本人が、現地の空港でタクシーに乗る際、運転手がドアを開けてくれないことに腹をたてながら、立って待っていました。 逆に、タクシーの運転手は、早く乗車しないことを訝しんでいたはずです。 客観的に見ると、両者とも自分の文化に基づいて行動しているので間違ってはいません。
仕事の場でも同様のケースがみられます。 例えば、スタッフを育成する方法はドイツと日本ではずいぶん異なるようです。 日系企業の経験豊かな課長から伺った話によりますと、その会社では部下の成長を促すために、問題が発生した場合は、その問題の大きさにかかわらずまずは厳しく指導することが普通とされているそうです。 そのうえで、自らの力で対応できない場合、次はもっと優しい態度で、どのようにサポートしていくか話し合いに入ることが多いとのこと。 要するに「最初は厳しく、次には優しく」という流れで対応しているとのことでした。
一方、この方法は、ヨーロッパではうまくいくとは限りません。 ドイツでは、いつも順調に仕事をしている社員へ些細な問題ですぐ厳しいフィードバックをするとモチベーションが下がる傾向にあります。 なぜかというと、マネージャーとは親分のような役割ではなく、同じ目線で協業するパートナーであることが理想とみなされているからです。 ヨーロッパ人の部下からすると「どういうこと?ずっと頑張って来たのに、小さな間違いですぐに子供のように叱られるなんて」と居心地の悪さを感じます。 それぞれの状況や能力レベルに合わせてケースバイケースでフィードバックを調整しないと指導が逆効果になる可能性があり、ヨーロッパ人に対しては日本人とは逆に「最初は優しく、次に一段厳しく」することが一般的には効果的なようです。
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