このあまりよくない印象がどのような文化上の違いからきているかご説明したいと思います。
90年代に初めて日本を訪れた私は「すみません」の意味が謝罪よりも潤滑油の役割を果たすという説明を聞き、非常に驚きました。その後日本人の考え方を学ぶことによって、もちろんその背景に納得がいきましたが、ドイツではお詫びの言葉の使い方は日本とは全く異なります。
ドイツで、お詫びの言葉を使うのは、その問題行為の責任を認める時です。そのため日本のようにお詫びをし過ぎると困った事になります。
なぜなら、もともとどちらのせいかまだ判明していない時に直接に謝ってしまうと、ドイツ人は相手が責任を負って賠償すると思ってしまうからです。ビジネスの場面でも、多くの日本人・日系企業がこの為に大変な目にあっています。
弊社のセミナー参加者のドイツ人に、問題が起こった後の第一歩について①対策を探す②謝る③誰のせいか調べる、のどれをとるかを聞くと約90%が③を選びます。謝るのは罪の意識を持ち罰を与えられる覚悟をしているときのみだからです。この為ドイツではトラブルが起きた時、顧客や上司と話し合いをする際にまず 始めに、原因は自分とは関係ないと主張するのは常識となっています。
日本人の立場から見ると、まさに言い訳ばかり・・・に聞こえるかもしれません。
正直なところ、我々ドイツ人が一生懸命説明をするのは、相手を納得させるだけではなく、自分の良心も納得させるためです。 良心の納得がうまくいくと、こういったやり方に対して別に悪いと思いません。
では、こういった場合、上司としてど うすればよいかといいますと、弊社のお勧めは、同僚・部下に謝らせるよりも「what can we do to prevent that issue from happening again」のようなアプローチを取る事です。 本人の反省にこだわらず、個別にそれぞれの責任感にアピールすることによって、同じ問題は二度と起こらないという事を確かめることができます。