弊社はヨーロッパ各地に於いて日本人海外赴任者のためのセミナーを開催させていただいております。その中でドイツの現地スタッフを含めてヨーロッパ人はワーク・ライフ・バランスに非常に拘り、あまり残業をしたがらないと多くの相談が寄せられます。 興味深いことに、統計によるとヨーロッパ内ではドイツの被雇用者が一番残業することが知られています。契約に準ずる労働時間は平均して37.7時間ですが実際は40.5時間働いています。(http://www.thelocal.de/jobs/article/germans-do-most-overtime-in-europe-ec)
通常ドイツで超過勤務手当はお金よりもフリータイムで補われています。どういう事かと言うと「所定労働時間」と「実労働時間」の差を計算し、超過勤務分を時間外手当として金銭精算をするのではなく、被雇用者各自に与えられる『労働時間口座』に一定期間プラスあるいはマイナスの時間残高/借入として記録する制度です。残高時間は休暇として、借入時間は勤務として相殺することができます。つまり労働時間口座に貯まった超過勤務分を使って休暇をとったり、時間短縮して働くことにより調整するのが一般的ということです。(http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2012_4/german_01.html)
日本と違いドイツでは社員は規定の有給休暇の全てを消化しないといけないため、会社の人事部は各社員の有給休暇取得状況を把握し、管理する義務があります。当局により制約違反が認められた場合は罰金が科されることも珍しくはありません。
上記の通りドイツの現地スタッフは根本的に残業に抵抗はありませんが、残業を依頼する際の注意事項を二、三ご紹介します。
– 現在、ドイツでは殆どの家庭が共働きになっています。それ故、当日に残業を頼まれるとあまり柔軟に対応できません。なぜなら子供を迎えに行ったり、医者の予約があったりなど変更が難しい予定があることが多いからです。残業が必要な時は数日前に「I am sorry but we will need you longer than usual on Tuesday. It´s because ___」などと前もって知らされていれば家族、パートナーと相談の上、予定を調整し何とか対応できるかもしれません。ですが、急に頼まれ予定が狂ってしまった時は柔軟な対応に非常に消極的です。正直にいうと「企画・段取りが上手くない上司のカバーをなぜ私がしなくてはいけないの?」と多くのドイツ人は考えるのです。
– 急を要する仕事がある場合には現地社員に説明し協力してもらうことも可能です。でもご注意ください。 毎回「これは急を要する仕事だ」と言ってしまうと信憑性がなくなるので、部下・同僚は従わなくなる恐れが…。状況に応じて、「this is task is really very urgent」と「this task has to be finished within 1 week/until next ___」のような表現を上手く使い分けるようにしましょう!